私は京都生まれの京都育ちです。 今日は京都のワンルーム市場のことをモロにお伝えしたいと思います。京都市はご存知の通り学生の街です。京都大学、同志社大学、立命館大学・・・などなど、たくさんの有名大学があります。
同志社大学の事情
そうしたたくさんの大学の中でも、群を抜いてブランド校で、資産家御用達の大学が同社大学です。 同小学校では資産家のご子息とご令嬢が、ホテルのシェフにつくらせたランチをお召になって、「フー、苦しゅうない」と言っておられます。
大学の校舎は私などプロが見ても、これほど贅を尽くした建物は他にないと真剣に思うほどで、カフェはもちろん一流のフランス料理がいただけるレストランを配したロビーは、京都の最上級ホテル、ウエスティン都と肩を並べるほどの出来栄えです。ところが2012年の春、衝撃の報告を受けました。
同志社の学生で賃貸マンションに住む人が激減している
「同社大学の学生さんですら、賃貸マンションに住む人の数が激減している」とうレポートです。どれくらい減っているかというと、おそらく半減するだろうという勢いです。京都賃貸市場のオーソリティーからの調査報告ですので間違いありません。
いいえ、同社大学の学生総数は減っていません。むしろ若干増えております。 でははぜ・・・賃貸マンションに住む学生が減りつつあるのか?
賃貸マンションに住む学生が減る理由
同社大学は資産家御用達とはいえ、もちろん一般のご家庭の方も入学されております。 一般のご家庭の占めるわりあいはほぼ50%。 一般家庭ではご存知の通り親の所得が確実に下降しており、学費だけでも高いのに、それに加えて仕送りをする余力はもうありません。 ですから、「多少の距離があっても自宅から通いなさい」ということで、遠い人だと片道1時間半もかけて通学しているそうです。
少し前でしたら当然ワンルームマンション住まいだったのに・・・また、いろいろと忙しい2回と3回生のときだけワンルームマンションに住まわせて、1回と4回は自宅から通わせるなど、聞いていて身の引き締まる工夫をされていらっしゃいます。
同志社大学ですらそうですから、高額所得者のご家族の占める割合が10~15%と推測される他の大学ではなおさらであり、ワンルームマンションの需要の低下はすざまじい勢いです。ほんの2年ほど前にテレビ番組で話題になった「シェアハウス」がごく当たり前の現実になっているわけですから、世の中の変化は早いです。
市況やニーズを無視した営業
なのに、なのに、同社大学のある京都御苑の付近では、「ワンルームマンションが供給不足です! ぜひ、あなたの遊休土地にワンルームマンションを建ててください!」と営業マンが地主さんを巡回しております。同志社大学の京田辺市キャンパス(京都市中心まで1時間ほどかかる)から、たくさんの学部が本拠地の京都御苑付近へ移動するので、ワンルーム需要が激増するというふれこみです。
弊社など各設計事務所にも「地主さんをご紹介ください! そしてワンルームマンションを設計してください!」と書かれたパンフレットが届きました。
私はもちろん丸めてゴミ箱へ捨てましたが、丸める前にどんなことが描いてあるのか見ましたところ、「少子化だが京都に滞在する学生数は増えている。なぜなら、滞在期間が長くなるから」というようなことが書かれていました。なるほど就職難で、暇つぶしに大学院に行く人を見かけます。が、それでは親の体力が続きません。