収益型二世帯住宅に踏み切った経緯
のび太君と静香ちゃんは賃貸マンションに住んでいて、家賃は9万円、共益費が5千円です。のび太夫婦は毎週末といっていいほど、実家で食事をごちそうになります。かなり家計が助かりますし、実家もにぎやかだと喜んでくれます。 お父さんの退職が近づいたとき、二世帯住宅の話がもちあがりました。言いだしたのはのび太君でした。というのは、静香ちゃんと話し合った結果、つぎの3大メリットがあるからです。
- 子供ができてもフルタイムで働ける
- 土地を買って新築するより二世帯住宅にしたほうが安く済む
- 両親の援助がえやすい
収益型二世帯住宅を建てる費用は、だいたい3500万円かかりました。みんなでお金を出し合って、500万円の頭金をつくりました。残り3000万円を住宅ローンを組みました。金利1%で30年ローン。毎月の返済額は¥96,491円です。
野比家のピンチ
収益型二世帯住宅が完成し、里奈ちゃんも誕生して幸せの絶頂だったのに、ある日突然のび太君の務めていた会社が倒産してしまったのです。のび太君の頭は真っ白になりました。さっそく就活を始めたものの、思うように就職できません。
そのとき、お母さんが「お守りだと思って、収益型二世帯住宅にしたんじゃない。しばらく同居して、家賃を稼ぎましょう」と言ってくれたのです。
のび太くんはどれだけ助かったか・・・さっそく次の土日に荷物を移動して、1階の空いた部分に入居者を募集しました。
しばらくして入居者がみつかりました。家賃は10万円もらえたので、住宅ローンから開放されました。
順調なときは住宅ローンはそれほど苦痛ではありませんが、いったんピンチになると恐ろしいほど重くのしかかってくることを実感しました。もし、収益型住宅にしていなかったら、一家は露頭にまようところでした・・・ホッ
お父さんの年金とお母さんのパート収入、静香ちゃんの給料で十分生活ができました。
でも、のび太君をあまり安心させると怠けてしまうので、3人は「家計が厳しい!」と、機会あるごとに言いました。
両親が旅立つ
あのときのピンチも、今思えば良い思いでです。お母さんの提案で収益型二世帯住宅が家賃を稼いでくれたので、のび太君は焦らずじっくり就活できました。おかげで、給料は高くないけど居心地の良い会社が見つかったのです。そのお母さんも今年の2月、お父さんの後を追うように他界しました。 のび太君ももう55才。あと数年で定年になり、同時にローンも終わります。 両親の亡きあとはリフォームして他人に貸すことにしました。リフォームといっても、土日に家族でペンキを塗り重ねただけです。
娘の里奈ちゃんはデザイナーを目指して頑張っています。彼はいるのですが、結婚のことは考えていないらしい・・・
あれからまた、30年経過
「光陰矢のごとし」。もう、のび太君も、静香ちゃんもあの世へ旅立ちました。平凡でしたが、とても幸せな人生でした。 退職と同時にローンも終わって、毎月10万円の家賃が入ってくるので年金と合わせると老夫婦の家計としてはかなりの豊かでした。退職後はパリやローマなど海外旅行が恒例になっていましたし、晩年には名湯の宿に泊まったりして日本の良さを満喫しました。
これは結果論ですが、娘の里奈ちゃんの結婚が遅かったのもラッキーでした。結婚していたら他人に貸して家賃を稼ぐチャンスがなかったかも知れません。 結婚していたら、にぎやかな家庭の幸せというものを味わえたわけですからどちらにしても幸せでした。今、里奈ちゃん夫婦はデザイナーとして独立し、1階をアトリエとして使っています。