家族で考えよう

拝啓、ご両親様

便せん

激動の昭和を生き抜いてこられたことに尊敬申し上げます。そしてこの豊かな日本を築いていただいたことを感謝いたします。
身の危険を感じることもなく歩ける街。スーパーに行けば余りある豊富な食材や衣料。停電や断水もなく疫病の心配もない清潔な社会。希望が持てない社会といわれますが、諸外国と比べると日本は本当にすばらしい国です。

とはいえ経済成長が止まり、デフレが続き、終身雇用や賃金アップも期待できない状況であるのは事実です。
昔のように「多少無理してもローンを組んで家を買えば、そのうち昇給して楽になる」という図式は成り立たなくなってしまいました。
ご先祖様から受け継がれた土地があればまだしも、土地から購入して家を建てるなど、今の若者には不可能といっても過言ではありません。

そこでお願いがあるのですが、ご両親様のお住まいをご子息様やお孫さまのために「収益型二世帯住宅」に建て替えるご許可を頂けませんでしょうか。いいえ、今すぐというわけではございません。私のレポートをご高覧いただき世の中の動きと照らし合わせ、ご子息様と協議されてご納得がいかれた末のご判断でけっこうです。

自己紹介が遅れて恐縮ですが、私、一級建築士のMac安田と申します。
まったくの他人である私からこんなことを言われてご立腹かもしれませんが、たくさんのご家庭の設計に携わらせて頂いた経験と、私自身のずっしりとした体験から申し上げずにはいられませんでした。どうぞお許しくださいませ。

拝啓、ご夫妻様

子供の才能

きびしい時代になりましたね。終身雇用はもはや死語となり、年金すら危ぶまれる今日です。日本経済も沈んだまま、いっこうに良くなりませんね。国の債務もGDPの200%と、諸外国と比較して異常ともいえるくらい膨らんでいます。しかし幸福なことに、日本国債の95%は日本人がもっていますので、日本国が破産するという危険はありません。

前置きが長くなりましたが、私、一級建築士のMac安田と申します。本業はもちろん建築設計ですが、建築だけでなく健康や経済について常に研究しています。
なぜなら人は、幸せな人生をおくる手段のひとつとして「家」を建てるからです。そこを考えずにただ「お洒落な家がほしい」「使いやすい家にしたい」という表面的な部分で家を建ててしまっては、その後の人生が苦しくなってしまうことさえあります。
最高の医療
そこで改めて「幸せとは何か?」を考えてみましょう。
「幸せ」を煎じつめればやはり「健康とある程度のお金」ではないでしょうか。
健康はもちろんですが、やはりある程度のお金がないと幸せをつかみ損ねます。たとえばお子様の才能をのばしてあげたい。そのためには良い環境を整えてあげないといけません。これにはお金がかかります。また、ご両親様も含めてご家族の誰かが病気になれば最高の医療を受けさせてあげたいと思います。もちろんこれにもお金がかかります。

つまり、家づくりに貯金や所得のすべてを投じてしまっては生活に潤いがなくなってしまうというわけです。これでは本末転倒ですよね。そこでちょっと提案ですが、ご両親と話し合って二世帯住宅を考えてみはいかがでしょうか?
もちろんプライバシーも大事にしたいですし、自分たちの力で独立したお家を建てたい気持ちも分かります。
でもここは、ちょっと大人になって考えてみませんか?

子供いきいき

私が提案する新しい二世帯住宅の形。それが「収益型二世帯住宅」です。
イメージしてみてください。総戸数二戸だけの分譲マンション・・・。
プライバシーは完璧ですし、ご両親も何かと安心なさいます。
なんてったって「土地」を購入する必要がないので資金に余裕ができます。しかも、いざというときマンションとして他人に貸して家賃を得られるという、とても頼りになる二世帯住宅なのです。

孫思い

孫とおじいちゃん

「孫は可愛くて目の中に入れても痛くない」と言いますが、いったいどれくらい可愛いのでしょうか?
私にはまだ孫がいないので、ある先輩に訊いてみたところ数値化してくれました。
「子供はかわいい。かわいい子供が産んだのが孫。 だから可愛いの2乗!」だそうです。
「なるほど!」 座布団三枚あげましょう。

それくらい可愛い孫ですが孫が大人になる頃・・・日本は少子高齢化がすすみ最悪の時代を迎えていることでしょう。
お年寄りばかり多くて財政がいきづまり、消費税は20%を超えて若い世代が受難の時代になることはが容易に想像できます。もう、住宅ローンを組んで家を新築するなんて不可能になると思うのは、心配しすぎでしょうか?
できることなら今のうちに丈夫で長持ちする家を建てて、代々使えるようにしておいてあげたいものです。屋根や外壁、構造体は特にしっかりつくって、200年くらい持つようにしておきましょう。そして内装や設備だけメンテナンスしていけば、楽に住み続けることができます。

パリのお家

このようなことは、欧州ではとっくの昔から行われてきました。パリやロンドンには200年以上前に建てられた家がゴロゴロあります。というか、それがフツーなのです。外観はそのままで内装や設備だけが新しくなって住みやすくなっています。最近やっと日本でも「200年住宅構想」や「長期優良住宅」という意識がめばえてきました。
その内容は

  1. 構造強度にゆとりを持たせる
  2. 断熱性能を高める
  3. メンテナンスしやすい構造にしておく
この3つですが、私はもうひとつ付けくわえて設計しています。
それは、「できるだけリフォームせずにすむように設計しておくこと です。

パリのお部屋 「2世帯がプライバシーを保ちながら心の交流ができる家」を1軒だけしっかり建てておけば、
親世代 → 子世代 → 孫世代 → ひ孫世代・・・とずっとずっと住み続けることができますね。
地球にやさしく人生に優しい、これこそが先進国のとるべき舵ではないでしょうか。

最終更新日: | 投稿者:, G+