優しい暖かさを、楽しむ。

モアナ・サーフライダーのオープンエアラウンジ

モアナ・サーフライダーのオープンエアラウンジ

ハワイの一流ホテルのカフェは、まちがいなくオープンエアである。
なぜならそのほうが気持ちが良いからだ。
ハワイの優しい暖かさを楽しむのだ。
もう一度言う。「優しい暖かさを、楽しむ」のだ。

ガラスで囲ってエアコンで冷やすのは簡単だが、それは「体を強引に冷やす行為」であり、そんなことをしても人間の体は喜ばない。暑すぎるよりマシというレベルであり、ときには冷房病になる。
日本にもオープンエアのカフェはたくさんあるが、真夏はとても耐えられない。

「ハワイの夏は東京とくらべてずいぶん気温が低いのか?」というと、そうでもない。
ならば「湿度がたいへん低いのか?」というと、大きくかわらない。

ホノルルと東京の気温

ホノルルと東京の気温



いったい何が違うのか?

実は、歴然とした違いが2つある。

風が街ごと冷却する

ハワイでは貿易風に加えて海風と陸風が常に吹いている。風速は秒速6~7mくらい。これを時速になおすと22~25km。自転車で快走しているときのように気持ち良い。

ホノルルの風速

ホノルルの風速



この風は実際にホノルルの街を吹き抜けることができる。
そして、太陽からの熱放射(日射)で加熱されたビルや道路を風が冷却してくれる。
ホノルルの都市計画が上手なのだ。つまり、1ブロックを大きくとって高層ビルを建てて、ビルとビルの空間を広くとるように誘導しているのだ。

改めて、ホノルルの街並みをご覧頂きたい。

それに比べて日本の街並みはチマチマした敷地が多く、敷地いっぱいに家を建てるので風が通り抜けることができない。気象台発表だとホノルルの風の半分くらいの風速なのに、街中ではほとんど風がない。

ホノルルで上記の都市計画を可能にしたのは太陽高度の高さにある。ホノルルは北緯18度で、日本よりも17度南にある。
日本の冬の太陽高度は正午で31℃しかない。三角定規を使って30℃を想像するとけっこう低い角度であり、自分の家の南隣に家が建てば直射日光はあきらめざるをえない。
日本の冬の太陽高度
だから都市計画で高さを厳しく制限しているのだ。その結果、敷地いっぱいに建てざるを得ず、風通しが悪い街並みとなる。
その点ホノルルは真冬の正午で48℃ある。48℃は見上げるとけっこう高い角度であり、しかもホノルルは寒くないので「日照障害!」と怒る人も少ないはずだ。
この、北緯18度という位置が微妙に暖かくて暑くない。奇跡の緯度だ。シンガポールなど赤道上に歩くには暑すぎてどうにもならない。
しかもハワイは太平洋のど真ん中で、気候はとても安定している。

話がながくなったが、風が街を冷却するとどうなるか?
簡単に言うと、照り返しの暑さがないということ。
「へえ~、そうなの」と、軽く流されそうだが実は、気温の高さよりも照り返しの熱さのほうが強烈なのだ。その根拠は後ほど詳しく説明する。

微妙に低い湿度

さきほど「湿度はホノルルも東京も大差ない」と言ったが、実は僅かな差が「暑さを楽しめるか、苦しむか」を決定するのだ。

出典:チリウヒーターHP

出典:チリウヒーターHP



この図は、名古屋近郊の8月の気温と湿度を実測し、同時に人間が「どう感じるか」を記録したものである。ここで大切なのは絶対湿度であり、絶対湿度16g/kgがハワイの快適ゾーン。
ちなみに(重量)絶対湿度とは、空気1kgあたりに水分が何グラム混合されているかという意味。(1kgの空気の体積は約0.83立方メートル)

下の表は、東京の8月の気温と相対湿度を示したものである。
赤で☓をした日は論外に蒸し暑く、検討の余地なし。

日本の夏の気候の評価 黄緑で丸印をした日はとても過ごしやすい。もし、床・壁・天井の温度が27℃程度であれば、ハワイの気候に近い。
ところが大半の日本のビルは内断熱なので、コンクリートが日射(太陽からの赤外線)で焼かれて、35℃くらいある。
ちなみにハワイのビルは無断熱であるが、ビルの外観はホワイトで反射率が高いところへもって、常に6~7m/秒の風が吹いて冷却してくれるので、コンクリートの温度はそれほど上がらない。写真のようにハワイのオープンエア空間は日射が当たらず風通しも良いのでベストなコンディションになる。

ところが日本では景観条例とか言って、建物はグレー系かベージュ系に制約される。
日射の反射率はホワイトに比べて劣るし風も吹かない。
日本ではもともと風速が2~3m/秒であるところへもって、細かく分割された敷地にめいっぱいビルを建てるので風が自由に吹けず、都会の風速は1m/秒程度である。
ビルとビルの隙間が狭すぎることが災いして突風が吹いたり、ヒュ~ヒュ~鳴ることもある。まったく楽しめる要素がない。
だから日本の都会は暑いが、もし黄緑の丸印の日に公園の木陰に行ってそよ風がきたらハワイの気候が日本でも味わえる。


一方、ホノルルでは露点温度(緑のライン)で表現し、22程度である。これを絶対湿度になおすと16.7g/kgDAである。毎日黄緑の◯印しが着く。
花まるの日も多い。

ホノルルの露点温度は22℃以下であり、絶対湿度になおすと17g/kg以下である

ホノルルの露点温度は23℃以下であり、絶対湿度になおすと18g/kg以下である



ここでもう一度、東京の8月の下旬の気候をみてほしい。
あれほど暑かった夏も9月が近づくと気温は降りてくる。
「過ごしやすい」とは言えるが「爽快」とは程遠い。

湿度に対する余力が少なすぎてダメ
紺色で☓をした日は絶対湿度は15g/kgAD以下なので一見良さそうだが、実は空気は湿気でパンパンの状態だ。
「もう一滴も吸えません・・・ゲボッ」という感じだ。
体感としては、「暑くはないがジメッとした嫌な日」という表現になる。
逆に水色で◯をした日は「爽やか!」「爽快!」「生き返る!」という表現になる。
紺の△印しはその中間である。


日本の気候をけちょんけちょんに言うのがこのサイトの目的でなない。
ハワイの清々しい気候の特性を知り、日本の忌々しい気候の元凶を知ることによって、どこをどう改善するとハワイに近づくのかを研究しているわけである。
ちなみに、湿度が低ければ低いほど良いかというとそうでもない。冬はもちろんだが、夏でも湿度が低すぎると刺々しい暑さになるから要注意。
ある程度湿潤なのもハワイの優しい暖かさの秘密であることを忘れてはならない。

最終更新日: | 投稿者:, G+