効果的な打ち水のしかた

打ち水には賛否両論があるようです。
「水道代がもったいない!」「資源のムダ!」 だとか・・・
では井戸水なら良いのかというと、下水道局にきっちりお金を取られます。
理由を下水道局に聞くと「井戸水を使うと、下水道に流れこむから」だそうです。
「こっちは打ち水するんだ! 蒸発するんですよ!」と言っても、前例がない・・・

打ち水大作戦
まあ、そんな低レベルな問答をしていては人生のムダというものです。
そもそも行政は住民の幸せなんて考えていない。
てめえを保身し、てめえの生活が安定することに全身全霊をそそぎます。(本音)

さて、本題に戻ります。
打ち水をする場所がまちがっておるのです。
普通、太陽に焼けて熱くなった歩道や車道打ち水しますよね。
これ、勝ち目ないです。
コンクリートの熱容量はハンパなく、多少の打つ水では温度が下がりません。

オタクとして計算してみました(どうぞ読み飛ばしてください)

たとえば幅4メートル、長さ10メートルのコンクリート製の歩道に打ち水をした場合を考えてみましょう。コンクリートの厚みは10センチ、温度は45℃とします。

コンクリートの比熱 : 1.05kJ/kg℃
コンクリートの質量 : 4㎥×比重2000kg/㎥=8000kg
コンクリート熱容量 : 8400kJ℃
冷却目標45℃→30℃ : 126000kJ

1Lの水が蒸発するといくら気化熱を奪えるか?
(水の初期温度は30℃ 30℃から約45℃になる分の熱計算は無視します)

気化熱 2442kJ/kg
126000kJ÷2442kJ/kg=51.59kg
よって45℃のコンクリートを30℃に冷却するには約52Lの水が必要となる。
52Lもの水を一気に流せば歩道に13㍉の水たまりができて歩けなくなる。
そこで小雨程度、2㍉/1時間のペースで水を撒くと6時間もかかる・・・このほうが疲れる・・・非現実的

ここからどうぞ

いちど焼けたコンクリートを打ち水で冷却しようという発想がムリなんですね。
なんせ太陽からの赤外線のパワーは1kw/㎡もあるのです。
大空を仰ぐと1㎡毎に1kwの遠赤外線ヒータが無数に配置されているイメージです。
小学生が使う安モノの虫眼鏡で太陽熱を集めると紙が燃えだすくらいですから。

1㎡ごとに遠赤外線ヒータ
結局どうすればよいのだ?
もともと日射があたらず、熱せられていない部分(隣の家とのスキマの陰)に少しだけ水を巻くのです。

建て込んだ都心の家と家の隙間は年中日影である
いくら暑い真夏日でも、その部分の朝方の温度は27℃以下です。

真夏日の最低気温は27℃
もし土に水分を含んでいたら2℃低い25℃です。
この温度をキープするために打ち水するのです。
あなたの家と隣の家のスキマが50センチだとして、周囲の長さが20mだったとしたら
面積は10㎡ですね。
そこに点滴チューブをはわせてください。

点滴チューブ
近藤純正先生(理学博士 東北大学名誉教授)の論文「裸地面蒸発量の土壌種類と年降水量への依存性」から推察すると、土壌は3㍉/1日程度しか蒸発することができないので、その分の水を点滴チューブでポトポト水を与えてみましょう。
10㎡×3㍉=30L/日 です。

水やりにはタイマーをつかいます。
タイマーは一度セットすると、毎日決まった時間だけ水をやります。
点滴チューブ20mだと、1分間で2Lほど出ますので、何回かに分けて合計15分間の点滴で一日分の水やりができます。
また雨センサーがついていて雨の日は水やりがストップします。

雨センサー付き水やりタイマー
1日30Lの水をやると、7月と8月の2ヶ月間でMax1.8立方メートルの水が必要です。
水道代は213円/立方メートル。下水道料金が200円/立方メートル。
合計413円×1.8=743円程度です。
ちなみに、タイマーと点滴中のセットで2万5000円ほどで買えます。

まとめ

1. 太陽熱と勝負するより、お隣の家とのスキマを涼しくしましょう。
2. そこから涼しい空気を吸い込むような窓配置にしたり、換気扇で涼しい空気を室内に
  吸い込むような工夫をいたしましょう。
3.「最高気温36℃!」などとマスコミが騒ぐので、まるで毎日が猛暑日のようなイメ
  ージですが、実際には7月や8月でも涼しい日や時間がけっこうあるものです。