ベストな自然エネルギーは?

窓からの太陽熱の取り入れ、風通し、地熱利用、雨水利用と自然エネルギーをいろいろ調べてきましたが、現実味があるのはほんの一部であり、「これだ!」というものはなかなか見つかりませんでした。

そのなかで、以外に光ったのが太陽熱給湯の進化版です。 それはチリウヒーターのハイブリッドソーラーシステムです。
チリウヒーターは世界で2番めに古くから太陽熱の利用に取り組んできた会社です。
先日、岡本社長のご自宅件実験棟におじゃましましたが、岡本社長は快適な環境を手頃な価格で提供することに人生を掛けていらっしゃることが熱いほど伝わってきました。

太陽熱でお湯を沸かす装置は1960年頃に登場し、「天日風呂」とよばれていました。
それは黒く塗ったタンクを屋根に置くだけのローテクであり、地方ではけっこうヒットしましたが、なぜか都会ではあまり受け入れられませんでした。

初期の太陽熱給湯

1960年(昭和35年)に発売された太陽熱温水器

その点ソーラー発電はハイテクな感じで市民権を得ていますが、実はソーラー発電よりも太陽熱温水機の方がはるかに効率が高いのです。これは意外と知られていません。

3~5kWシステム 一般家庭用
設置システム
太陽熱集熱器
2枚~4枚
22.5m2~37.5m2 面積に直すと 4~8m2
1kWシステム
=年間1,000kWh発電
それぞれ
1単位あたり
1m2
=年間520,000kcal集熱
1000kWh=7.5m2に相当、
1m2
=年間130kWh
1m2あたりに
換算すると・・・
1kWh=860kcalに相当、
1m2
=年間600kWh

 

パネル1㎡あたりの発熱量は、ソーラー発電の130kwhに対して太陽熱温水器が600kwhと、なんと4.6倍もの効率です!
でもこれは、あくまで発熱量で比べているのであって、テレビやパソコンを動かすためには電気が欠かせません。
つまり、適材適所を考えてエネルギーを使うことがポイントになってきます。
お風呂やキッチンの給湯、そして暖房は太陽光温水器を使う。
テレビやパソコン、照明、掃除機など電気でしか動かせないものは電気にお願いする。
今まで「光熱費」とひとくくりにしてきましたが、今後は「光類」と「熱類」を分けるべきなのです。
このグラフをご覧ください。

用途別エネルギー消費量

家庭で使っているエネルギーのうち、暖房が24%、給湯が39%、合計63%が熱のエネルギーです。
もし日本中の家庭が「光類=電気」と「熱類=太陽熱温水器」に使い分けたら、原発問題はかなり解決するでしょう。
現在のハイブリッドソーラシステム(太陽熱を利用した給湯&暖房システム)では、上記のうち、暖房エネルギーの6割、給湯エネルギーの4割をまかなうことができます。(関東や関西地区)

でもこのままでは、暖房エネルギーの4割と、給湯エネルギーの6割はガスを使わねばなりません。
そこでいよいよ大事になってくるのが、家の断熱性能を高めることです。(人間が我慢しなくても節約できるのがエコ&優雅のポリシー)
それに加えてお風呂では微粒子シャワーヘッドを使うこと、そしてキッチンでは「エコシングル」を使いましょう。
従来のキッチン水栓は中央部では水と湯が混ざって出ます。なのでお湯を使おうと思っていない時でも勝手にお湯が使われているわけです。
実はこれでガスが30%も無駄遣いされていたのです。

従来のキッチン水栓:中央部ではお湯と水が混ざって出る

従来のキッチン水栓:中央部ではお湯と水が混ざって出る

エコシングル:水とお湯の間で「カチッ」とクリック感がある

エコシングル:水とお湯の間で「カチッ」とクリック感がある

エコシングルは、水と湯との境に「カチッ」というクリック感があるので、水と湯をきちんと使い分けられます。これで30%ものガスの無駄遣いをふせげます。
さらに、少ない水でもちゃんと洗える工夫がなされているので20%節水できます。

しかし、なんといっても大事なのは家の断熱性能を高めることです。なぜなら、家全体が暖かくなると自然とお湯の使用量が減るからです。

ハイブリッドソーラーシステム

意外と強い、冬の太陽

あなたは、夏の太陽は強いが冬の太陽は弱いと思っていませんか?
実は私もそう思っていました。
夏の太陽はほぼ真上(地面との角度78度)から照りつけますし、真冬は斜め(地面との角度31度)から照るわけですから、大気を通過するときの減衰量は冬のほうが多いことは確かですが、それでも気象庁のデータによると、冬でもかなりの日射量が期待できます。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
MJ/ ㎡・日 10.4 11.1 14.6 18.5 20.4 15.6 17.7 16.1 13.5 10.3 9.7 8.3
kwh/㎡・日 2.9 3.1 4.0 5.1 5.7 4.3 4.9 4.5 3.7 2.8 2.7 2.3

気象庁では地上面、すなわち水平面で測っていますので、ソーラーシミュレーターも水平に設定しますと、多少の誤差はありますがおおよそ一致します。

平均日射量とソーラー発電量(東京・水平面)

平均日射量とソーラー発電量(東京・水平面)

水平面に到達する日射量は、最も日射量の少ないのが12月で2.7kwh/(㎡・日)、最も多いのが5月で5.1 kwh/(㎡・日)なので、夏と冬で1.9倍です。
ソーラーパネルを水平に設置したときの年間発電量は3589kwhです。(4kwのシステム)

でも、ソーラー発電としては1年を通じてできるだけたくさん発電したいので、ソーラーパネルを勾配屋根(地面との角度30度)に取り付けます。
すると、同じ4kwhシステムでも年間発電量は4042kwhにアップします。(4kwのシステム)

平均日射量とソーラー発電量(東京・南勾配30度)

平均日射量とソーラー発電量(東京・南勾配30度)

この場合、ソーラーパネルが受ける日射量がもっとも少い11月が3.1kwh/(㎡・日)、最も多い5月で4.4 kwh/(㎡・日)なので、その比率は1.4倍とさしてかわりません。
つまり、太陽をうまくキャッチするように工夫さえすれば、冬季でもけっこうたくさんのエネルギーが得られるということなのです。

理屈ではわかっても、ちょっとイメージとズレますよね。私もそうでした。
真夏の外出では少しでも太陽を避けようとして日影を歩くのに、真冬は太陽が恋しくて少しでも太陽に当たりたい・・・冬の日差しが恋しい
どう考えても夏と冬では太陽の強さが違う気がする・・・
そう考え出したら止まらない性格でして・・・
私はこの冬ずっと毎日、太陽と会話しておりました。(はた目にはきもいオッサンだったことでしょう。ご迷惑をお掛けしました)
その甲斐あって、真冬の太陽もけっこう強いことを実感する機会がありました。
キッチンのショールームへ行った時のことです。冬でも熱い!太陽熱
たまたま南向きの窓際にお洒落なダークブラウンのキッチンがあったので、なんとなく触ったら、「熱っ!」って思わず声が出ました。
それくらい熱かったのです。

同じ4kwシステムのソーラーパネルでも、水平に置くのと30度の勾配で取り付けるのではずいぶん発電効率がちがうのですね。
だったらもし、ソーラーパネルを45度の勾配で取り付けたらどうなるでしょう?
結果、年間発電量は3916kwhと、逆に少し減ってしました。

平均日射量とソーラー発電量(東京・南勾配45度)

平均日射量とソーラー発電量(東京・南勾配45度)

なるほど、そうなるのか・・・ ここであなたは、何か閃きませんか? 
もういちどグラフをみてください。
冬(11月~3月)に限って言えば、ソーラーパネルを45度の勾配で取り付けたときのほうがたくさん発電する・・・

 

集熱効率とデザイン

冬(11月~3月)に限って言えば、ソーラーパネルを45度の勾配で取り付けたときのほうがたくさん発電する・・・
このパネルがもし太陽熱温水器だったら・・・
太陽熱温水器は給湯や暖房に使うわけだから、熱が欲しいのは冬!
よって、太陽熱温水器の進化版であるハイブリッドソーラーシステムは地面との角度45度に取り付けたほうが、効率が良いのです。
(10/10勾配=45度勾配  6/10勾配≒30度勾配)

冬の方位別・勾配別の太陽熱利用量 集熱パネルを45度勾配に設置

でも、効率一辺倒でよいのか? というと、そうではないでしょう。
「昔の太陽熱温水器が都会でヒットしなかったのは、カッコ悪いと思われたからじゃないか?」というのがチリウヒーターの岡本社長の推理です。
そこで、集熱効率とデザイン性の両立できる角度、30度の勾配を選びました。
温水パネルのデザインも、ソーラー発電パネルと見間違うくらいスッキリしたものに改良されました。(多くの人に喜んでもらいたい、という、岡本社長の情熱!)

ハイブリッドソーラーの外観