賃貸マンション完成は11月に!

あなたが賃貸マンション経営を始めるとしたら、何月に完成させますか?

なんとなく・・・3月でしょうか? それは3つの意味でダメです。

入学式

【理由1】

1つめの理由は、工事の繁忙期と重なるからです。 あなたが「なんとなく・・・3月?」とお答えになったように、大抵の人がそうお答えになります。 住宅を新築される場合も、ほとんどの方が3月完成をご希望なさいます。 4月から子供が中学へ入学するとか、途中で転校させたくないなどの理由です。 それと同じような理由で、賃貸マンションの「お部屋探し」が一番活発なのが2月です。 賃貸マンションの場合は、さらに「転勤」が加わってなおさらその傾向が強くなります。

だから、3月完成を目指す建築工事が多くなるのです。 そうなると、当然、職人不足とが発生します。 建築工事は専門職でないとできません。 アルバイトを集めても家が建たないことは容易に想像できると思います。 職人の数は決まっている。なのに3月完成を目指す建築工事が多い。 これはちょうどお盆やお正月に海外旅行に行くようなものです。 ホテルの部屋数と飛行機の数は決まっているのに、お盆やお正月に旅行したい人が多い。

 

旅行代金区分カレンダー

Aが安く、B、C、Dと順に高くなる。お盆はNであり、Aの1.5倍くらいの代金になる

 

旅行業界では受給のバランスを旅費、つまり「価格」で調整しています。 お正月にハワイへ行くとひとり20万円くらい掛かりますが、1月5日ごろ出発なら10万円くらいでハワイへ行けます。 税関も空いていてすぐに通れますし、うまく行けば1ランク上のホテルに泊まれたりしてとてもお得です。

建築業界の場合は、旅行業界と違って、建築価格での調整はあまり行いません。 3月完成だから1割高いとか、そんなことはやりません。 ではどのようにして、調整しているのでしょう? それは、「職人の質」で調整するのです。 職人には、ランクがあります。Aランク、Bランク、Cランクです。 (これは私の長い経験の中での独自のランク付けですが) Cランクははっきり言って職人とは呼べず、まだ修行中のアシスタントです。 普通のシーズンなら、Aランクの職人さんが「親方」として工事を仕切り、Bランクの職人さんが主に仕事をします。 でも3月完成の場合、Cランクの人も混ぜないと工事が進みません。 つまり、工事の質が落ちるということです。

【理由2】 つぎに2つめの理由をお話します。

それは、あなたが賃貸マンションに住む側に立って想像すればわかることです。 お部屋探しにかぎらず何か物を買うとき、現物を見ずに買いますか? 賃貸マンションは買うのではなく借りるのですが、金額はものすごく高額な商品です。 おそらく一生で1番か2番めに大きな出費となるはずです。

たとえば、ごく普通のマンションの家賃を1ヶ月8万円とすると、1年間に払う家賃の合計は100万円になります。少なくとも2年間くらい住むと仮定すると200万円もの買い物の契約をすることになります。200万円というと、自動車1台買うようなもので、たいへん高額な商品です。 あなたはそんな高額商品を買うとき、現物を見ずに、現物を手に取らずに買ったりしますか? たとえ5万円くらいの洋服を買うときだって、いろいろな店を回って、試着したりしますよね。 時には迷って、「お取り置き」してもらって、他のお店にも見に行って、迷って迷って、結論をだすのではないでしょうか?

繰り返しますが、賃貸マンションのお部屋探しは200万円もの高額出費を決める、大きな大きな決断です。人生の岐路に立つといっても大げさではないと思います。 もちろん途中解約することができますが、その場合、礼金と引越代、そして仲介手数料をドブに捨てることになり、おそらく数十万円の損になります。

【理由3】 3つ目の理由は、プロモーション期間を設けるためです。

新築のマンションを企画するときは、今までになかったマンションを企画します。その理由はもちろん既存のマンションとの差別化であり、値段競争に巻き込まれないための策です。 どんな商品でも、プロモーション必要です。当り前です。 なのに、なぜか賃貸マンション経営の場合、プロモーションは行われませんでした。 それでも最近は、マンションの「ウリ」を示したHPを作る人も多くなりましたが、残念ながらCGや模型の表現力には限界があり、実際の広さや質感を伝えることはできません。もちろん高度な技術を駆使すればある程度できなくはありませんが、お金がかかります。 そしてせっかく作ったHPをアップしても、大手賃貸ポータル3大サイトにお願いしない限りアクセスは取れません。つまり製作にもメディアに載せるにもお金がかかるということです。少なくとも100万円以上かかります。

それなら、11月に賃貸マンショを完成させて、3月までの間をプロモーション期間にすればどうでしょう?

こんな素直で簡単な提案ですが、これを実行する方はまずいらっしゃいません。 「完成しているのに入居者がいない期間、返済はどうするのだ?!」 という心配が先に立つからでしょう。

銀行は、完成と同時に返済を求めてくるものでしょうか? いいえ、銀行融資の時に、「返済は4月から」と契約しけば良いのです。 ただし、プロモーションを行っている期間も金利だけは払わないといけません。 では、金利はいくらくらい掛かるでしょうか?

現在、賃貸マンション用融資の金利は2%くらいです。 11月に完成して、実際に満室になるのは3月といたしましょう。 (私の経験上、12月に半分ほど予約が入りますが、下記の計算では無視します)

例えば、賃貸マンションの事業費が2億円と仮定しましょう。 12月から3月まで、4か月間の金利は133万円しかかかりません。 (2億円×2%÷4/12ヶ月)

133万円を高いとお感じになりますか? 2億円の商品のプロモーションですよ。広告宣伝費としてはむしろ安いものです。 「現物」を見せる効果は絶大です! CGや模型などの比ではありません。

【まとめ】 11月に新築の賃貸マンションを完成させるメリットは、

1. 同じ金額で質の良い工事ができる 2. 入居者に実感をもって選んでもらえる 3. 企画して練にねった「ウリ」を入居者にアピールできる

あなたの、マンション経営の成功をお祈りしています。