車を持たない生活を決断すれば、郊外ではなく都心に住める!

 一戸建て住宅を造る場合、まず土地を探さなければなりません。土地探しをする時、「都心は土地が高いから」という単純な理由で郊外へ郊外へと足を伸ばしていくケースが多いようですが、ここでちょっと考えてみてほしいことがあります。あなたのライフプランとって、郊外の土地が本当に最適かどうかという問題です。

 もちろん、緑が多くて空気の澄んだ郊外がお好きな方は考え直す必要はありません。それが理想なんですからね。でも、本当は都心に住みたいけど手が届かないから遠距離通勤に耐えるという考え方に、私は強い違和感を覚えます。  

 具体的に説明させてください。たとえば東京都の山手線界隈の住宅地の地価は1坪200万円くらいです。それに対して1時間以上の通勤時間を覚悟すると、地価は3分の1くらい、つまり1坪当たり70万円くらいまで下がります。なぜ都心の地価が郊外の3倍もするのか? それには、以下のようにちゃんとしたワケがあります。

 ①通勤時間が短く自転車通勤も可能になる。自分の時間が持てるようになり、自分

に対する投資ができる。

 ②図書館、美術館、都市公園など税金で作られた文化施設などをどんどん利用できる。

 ③レストランやファッション、大型書店など文化的刺激が受けられるし、街が24時

間活動しているのでこちらも行動的になる

 ④インフラが整っているので、上下水道の引込み費など余計な建築費がかからない。

 金銭的に一番大きいのは①です。まず、交通費が減ります。定期代などは会社が支払ってくれますが、プライベートの買い物などで使う交通費が削減できます。家族合計で2万円くらいにはなるでしょう。

 これだけならたいしたことはありませんが、都心に住むと自動車が不要になります。コレ、断言します。私は京都の都心に事務所を構え、自転車で20分くらいのところに住まいがあります。そして自動車を持たない人生を10年間続けていますが、なんら不便はありませんでした。それどころか車を持たないおかげで、10年間で約1000万円の貯金をすることができました。その内訳は以下の通りです(数字はそれぞれ1年間に必要な経費)。   

 月極ガレージ代30万円。車の償却費60万円。保険代5万円。ガソリン代24万円。車検と修理費10万円。出向いた先でのガレージ代6万円。以前、自動車に乗っていた時は年間129万円かかっていたわけです!                   

 これを自転車+地下鉄+タクシーでこなしますと、少なくとも年間100万円は節約できます。というより、そのほうが時間的にもずっと得をします。しかも体力が付きます。歩く機会が増えますし、わざわざスポーツジムへ行って自転車をこがなくてもすみますので、時間ダブルで節約できます。お腹も凹(※へこ)みますし体調もよくなって病院に行く回数も減ります。  

 さらに、自動車を所有しない大きなメリットがあります。それは土地を買う時、ガレージ部分がいらないので小さな土地ですむということです。具体的には5坪くらい小さな土地ですみます。東京都心なら200万円×5坪=1000万円もの節約です! 

 一方で郊外の土地では、場合によっては水道を引き込んだり下水道を使用したりするだけで、何十万円という大金を地方自治体に支払うことを要求されたりしまます。ひどいケースですと、「開発協力金」などと訳の分からない大金を強要される場合もあります。

 このように、都心は単に地価が高いのではなく、高いだけの値打ちがあるのです。これは私が長年いろいろなケースに立ち会ってきて感じることですが、むしろ郊外の土地の値段のほうが割高だといえます。都心にコンパクトな家を建てたほうが、よほど文化的で有意義な人生が遅れると思いますが、いかがでしょうか。