「民泊が儲かるのは東京オリンピックまで」とよく耳にしますが、東京オリンピックは関係ありません。ただしアジアの勢いがいつまで続くか解らないという点と、ホテル建築ラッシュを考えると、儲かるのはこの4-5年という味方では正しいかもしれません。 そこでもう少し詳しく分析していきましょう。 「民泊ビジネスの裏事情」で訪日外国人の割合のグラフをご覧いただきましたが、あれはあくまで日本をひとまとめにしたグラフであって、都市を限定すれば結果はかなり違ってきます。 たとえば京都市を例にとってグラフをつくると次のようになります。
これを見るとかなり状況は変わってきます。 訪日外客数だけを見ると東アジア(韓国・中国・台湾・香港)が全体の76.6%もを占めていますが、京都へ訪れるそれらは48%に過ぎません。 なぜなら彼らは滞在期間が短いからです。 逆に訪日欧米豪人は11.4%なのに京都へ訪れる彼らの延べ人数(泊×人)は38%を占めます。 さて、各国の特徴を見ていくことにしましょう。韓国
韓国の人は大阪がお好きなようです。 他の国の方は東京がダントツなのに対して、韓国の方は東京都と同じくらい大阪においでになります。また、韓国から福岡は至近距離なので気軽な小旅行にいらっしゃることは理解できます。 韓国人一人あたりのGDPは27195ドルもあり、日本のそれ(32486ドル)といくらもかわりません。(2015年) 日本国民はすでに金持ちではないのです。
中国
中国人の上位2割の人の平均所得は、ほぼ日本人の平均所得と同じである。(フランスのメディアの記事からの推計) つまり、2億7000万人も日本人並みの所得の人がいるということです。すぐ隣に。 尖閣諸島問題もありますが、観光収入から言えばやはりお得意様であります。 私の事務所は京都市の中心部にあり河原町通に面していますが、ちょうど斜向いに中国人のランチスポットがあり、連日、大型観光バスの発着がたえません。 最初の頃は、バスから降りた観光客が缶コーヒーと煙草(わかば)を私の事務所の前に大量に捨てるので困っておりました。 私はランチスポットの責任者(中国人)に、「観光客は歓迎するがマナーをしっかり教えるように」とお願いしました。 彼は真剣に受け止めてくれ、しばらくのうちにマナーは良くなりました。信号もしっかり守って横断してくれます。 つまり、ちゃんと指導すればほとんどの人は守ってくれるということです。これはどの国のひとでも同じではないでしょうか。 その彼が、私の民泊にも力を貸してくれることになりました。
台湾
台湾人のひとりあたりのGDPは22288ドルと日本人の3分の2です。 旅行先は手頃な沖縄や、雪が体験できる北海道が人気です。 台湾人が海外旅行をする機会は徐々に増えてきていますが、特に日本への旅行は急激に増えています。
香港
香港人はお金持ちです。 一人あたりのGDPは日本人のそれの1.3倍もあります。(2015年 ドル換算) 私など、日本の栄光の日々を体験した昭和のオッサンにとっては歯がゆい限りです。 でも有り難い! 香港人は何度も日本に来てくれるお得意様なのです。
インド
人口ピラミッドが示すとおりインドはとても若い国です。 このような人口ピラミッドを示すのは、訪日外国人のいる国ではフィリピンとインドネシアくらいのものです。 国民一人あたりのGDPはまだまだ低い数字ですが、これからが期待できます。 ただしインドは地理的に日本から遠く、インドからの海外旅行先は表のとおりです。 しかも韓国が19位で日本が25位であるのは寂しい限りです。もっとPRせねば! むしろフィリピンあたりからの訪日観光客が期待できるかもしれません。
豪州
これを見るとガッカリするというか、日本の地位はこんなもんだと再認識されます。 豪州人はお金持ちだし、時差も殆どないのでもっともっと来て欲しいですね。 でも豪州の総人口は米国の13分の1しかないわけですから、かなりきていただいているのですね。サンキュウ!
米国
米国からは年間100万人を越える旅行者が日本に来てくれます。 旅行スタイルの特徴は、滞在期間が長いこと、一人旅が多いことです。 米国人の平均所得が高いのはご存知のとおりですが、宿泊にあまりお金を使ってくれない人が多いようです。 なぜなら男一人旅が多く、滞在日数が長いからです。女性とカップルで来てくれれば少しは格好をつけてお洒落なゲストハウスに奮発してくれるかもしれないのに・・・ また、折り紙をしたり、日本料理をつくるなど日本文化体験型が喜ばれます。 民泊はいくら気取っても一流ホテルにはかないませんから、日本的な要素を演出するのが吉だと思います。
欧州
ドイツ、イタリア、スペインなど欧州の国々もやはり長期旅行が多く、男一人旅が目立ちます。 そのなかでフランスだけはご夫婦でいらっしゃることが多いようです。やはりお洒落ですね。 距離があることもあり、欧州各国からの訪日旅行者を総計しても米国に及びません。 米国と同じく、日常生活体験や日本文化体験がよろこばれるようです。
まとめ
あなたの街にくる外国人はどこの国の人が多いのか。滞在期間はどれくらいか。どんなことに興味をもって日本に来てくれるのか、そして何に対してお金を使ってくれるのかをリサーチして、それにピッタリのゲストハウスをつくらねばなりません。 でないと、せっかく準備してもスベってしまいます。 私共はそこをふまえて、旅行者に喜んでいただいて収益もあげることができるゲストハウス企画、運営していきたいと思います。