3人のお医者様の体験記

建築ジャーナルここでは3人のお医者様の、外断熱体験記をご紹介いたします。
これは権威ある建築専門誌「建築ジャーナル」の取材を受け、2009年4月号に掲載されたものです。
岩井先生の家は、石川先生は鉄骨、櫻井先生は木造の建物です。
さて、それぞれの住まい心地は・・・

社団育生会久野病院理事 岩井宏次さま

はじめに

母の家の引越しに伴い、平成15年に外断熱の住宅を京都に新築した。
私は医学的に考えて最も健康に良いと判断して工法を真の外断熱住宅(鉄筋コンクリート)にした。
その考え方と実際に5年間住んでみた感想を述べる。

健康に関して

岩井先生の体験記私の長男は小学生のときから小児気管支喘息とアトピー性皮膚炎を患っており、中学になっても改善しなかった。
阪神大震災で動いた箪笥の後ろの壁を見て、カビが広がっていることにショックを受けた。
和室の畳をはがして顕微鏡で観察し、動いているダニが多数見えたときにもショックを受けた。
長男の血液検査でダニの抗体が異常高値であった。

夏の暑い日に私が2階の自分の部屋に帰ってきたときに、目が痛くなることがあり、環境には大変興味を持った。
室内のホルマリン濃度を測定してみたところ、環境基準を超えていた。
シックハウス症候群の典型例と考えた。

冬に風呂場やトイレで問題を起こして救急車で病院に運ばれてくる患者さんがかなりの数存在する。
例えば、脱衣室と浴室の急激な温度変化は、血管を著しく拡張または収縮させるため、血圧や脈拍を大きく変動させる。これにより脳梗塞、脳出血や心筋梗塞を引き起こす。
いわゆるヒートショックと言われるものである。
また、冬の夜間に寒いトイレに行くときに厚い上着を着込むと、運動に負担がかかり、転倒しやすくなり、骨折する確率が増える。

家とは災害や天候の変化から肉体的に守ってくれ、そのことから精神的にも休息が得られるべきものである。
自動車や飛行機など近代的な機械が生じる騒音が氾濫している状態では、精神的にも良い環境と考えることはできない。
以上の状況を考えたとき、真の外断熱住宅しか問題は解決できないと確信した。

実際に住んだ感想

長男と次男が自宅で卓球を2時間以上楽しんでも、長男に喘息が生じることがなくなった。
生活空間に繋がるところではカビの発生は今のところない。
また、壁面はコンクリートであり、内断熱材など複雑な層状構造が存在しないので、シックハウス症候群を生じる可能性は極めて少ないと考える。

冬は床下と壁のコンクリート内温水暖房であり、エアコンは原則として使用しない。
温度計は21.5度を示すように暖房機を調整している。23℃に設定すると暑くて生活できない。
各部屋の温度差は1度以内である。朝夕の温度差は0.2度以内である。
換気は十分に行っているため空気の温度はやや低いが、壁からの輻射熱で程よく暖かく感じる。
一般的にこの感覚は体験しないと解らないと思う。
この心地よい暖かさは、何ものにも替えられないものである。

我が家では『木の温もり』ではなく『コンクリートの暖かさ』である。
トイレ使用時や浴室で着替えるときでも寒いと感じたことはない。
雪が降っている日にも、80歳の母は薄い長袖のシャツを腕まくりして生活している。
冬の寒い日に徒歩5分のスーパーまで出かけても寒いとは言わない。
赤外線表面温度計で母の足背の温度を調べているが、32から34℃と高めの値を示す。

外断熱住宅では寒く感じないため、四肢の血管が十分拡張しており、四肢抹消まで畜熱しているので、寒い外に出てもすぐには冷えないのだと考えられる。こんな環境ではヒートショックを発症するはずはない。

夏はエアコンで温度調整をしている。空気温と壁の温度はほぼ同じであるため、26度以下に冷やす必要はない。27度に設定し、扇風機をゆるく使用しても心地よい。また足元が冷たくないのは良いことである。
湿度もコントロールしやすいので、心地よく感じるのだ思われる。この感覚を設計士の安田氏は『ハワイの快適性』と言われている。

鉄筋コンクリートの室内は大変静かである。家の前を車が通っても気づかないことがある。もちろん台風、火事、地震に対しても強い。この安心感は日常の仕事で疲れて帰ってきたときの大きな安らぎになり、精神的な健康は肉体的な健康にも繋がると考える。

母は以前の家で年1回以上風邪のため高熱を出していた。外断熱で暮らして5年で1度しか高熱を出していない。これは事実であり、なんら修飾はない。母親は大変喜んでいる。外出の機会は以前に比して減っておらず、ウイルス被爆の機会は減少していないので、住宅環境に関係する可能性が十分ある。

問題点

冬の暖房暖房に関して床内と壁内の温度調整をするのに少しの忽がいる。換気を正確にしなければ、思わぬところにカビが発生する。いくつか問題点はあるが、建築技術で十分にカバーできる。これまでに根本的な問題点は出ていない。強いて言えば壁面が厚いため室内空間が狭くなることと初期投資が多くなることである。後者に関しては、毎月の光熱費が安く、10から15年で回収できそうである。

まとめ

肉体的、精神的に健康に良いこと、この上なく住み心地の良いことを考えると、鉄筋コンクリート外断熱住宅は大変価値のある住宅工法といえる。

医療法人社団大真会 和久野医院 理事長 石川淳さま

石川先生の体験記私は4年前に、書店で「プロが教える 建築費500万円を節約する賢い家造り」を手にして、初めてMac安田先生の存在を知り、一昨年自家医院を設計して戴き外断熱工法で施工しました。

開院して、1年2か月が経過しましたが、思った以上に快適な心地良い空間で、診療しています。今は真冬の2月で、私の居住する北陸の外気温は大体2℃~6℃くらいですが、早朝に医院の中に入ると、暖房がONされていないのに、ホワッとした温もりに体全体が包まれます。その後エアコンをONにして室温を24℃で保つように設定しています。

医院の中、特に診察室の中では、我々医療従事者は長袖の白衣を纏ってますが、患者さんは常ずね脱衣の情況になるため、暖かい室温の確保は医院にとって、必要条件の一つです。又、従業員の職場環境を考慮しますと、私以外は全て女性スタッフなので、女性特有の 足元の冷えに対しては充分に暖かさが保たれており、スタッフ一同喜んでおります。

外断熱工法の窓枠は、樹脂サッシュの為、従来の窓枠で多く使用されているアルミサッシュの水浸しの不快感は全く無く、いつもサラサラしています。

私が先生の著書で二冊目として、読んだのが「外断熱住宅はここが凄い」でした。この著書のキャチフレーズは、「家の中にハワイの気候を実現しよう」でしたが、自院で労働していると、あながちそのキャチフレーズがオーバーでは無い事が、実感出来ます。

従来の工法に較べますと、外断熱工法は確かに建設費用に関しては、坪単価で約10万円程高価ですが、空間の快適さ・耐震・24時間換気・防音・光熱費・その他を考慮すれば、Mac安田先生が、命を賭して推奨する「外断熱工法」は非常に魅力的であり、尚且つ外断熱の建造物の中で働ける幸せを、今まさに感じています。

さくら動物病院 院長 櫻井圭一さま

桜井先生の体験記今回設計士の安田先生からのご依頼があり、外断熱についての原稿を書かせていただく事になりました。設計や建築に関しては全くの素人でありまた文才もありませんが、実際に5年間ほど外断熱の建物で生活や仕事をしてみての感想を率直に書かせていただきたいと思います。

私は京都で動物病院を開業している獣医師です。建物は木造二階建て、1階が動物病院、2階が自宅という構成になっており、1階は全面床暖房になっております。寒い冬の朝病院に降りてきたときに、いつもやんわりと暖かいのが1番外断熱・床暖房の恩恵を感じる瞬間です。受付で座っている事が多い病院のスタッフからも『足元が暖かくて冷えない』と非常に好評です。

冬場の院内は床暖房だけで、ほとんど他の暖房器具が必要になることはありません。エアコン等と比べて屋内の空気があまり乾燥しないので、1日中仕事をしていても快適です。また窓周辺の結露や結露によるカビもみられないので、健康面や衛生面でもメリットがあると思います。

また病院内には動物たちがたくさんいますので、発熱するヒーターやコードのある暖房器具は、火傷や感電の危険があるため使用には注意が必要です。その点外断熱・床暖房でしたらそういった器具を使用する必要がなので安心です。同じ事は小さな子供たちにとってもあてはまる部分が多く、我が家の子育ての力強い味方です。

動物たちは私たちと比べて、常に床に近いところで活動していますので、外断熱・床暖房の恩恵を1番感じているのではないかと思います。入院設備もありますが、病気の動物たちにとっても1日中やんわりと暖かい入院室は快適だと思います。

一方、夏の暑い日には屋外の熱を遮断してくれますし、冷房の効率がいいのも経済的です。また外壁が厚くなるため、ある程度の遮音性があります。動物病院ですので、入院中の動物の鳴き声が近隣にお住まいの方に迷惑になっていないか、とても気になるところです。外断熱によってその防音効果が期待できるのもメリットの1つです。

外断熱や床暖房は、外から見ても一般の人にはわかりません。しかし、実際に住んでみると、広い庭園や高級な家具に勝るとも劣らない満足が得られると思います。