汗をかいても、乾かない・・・

人体冷却の最大の武器は発汗だが、汗をかいても蒸発してくれないと涼しくならない。
汗がベットリ肌にへばりついて不快になるばかりだ。
かいた汗が蒸発するかどうかは、空気の事情に任せるしかない。
たとえば27℃のとき、1kgの空気には最大で約23gの水蒸気を含むことができる。

仮に相対湿度が40%だとすると、空気は乾いたスポンジのように水蒸気を吸いとってくれるので汗はすぐに蒸発する。そこへ風でも吹けば、汗は風にのって飛んで行く。
肌はサラっとして汗をかいたことにすら気づかない。
「ハワイでは汗はかかない」と思っている人も多いのではないだろうか。(ハワイの相対湿度はここまで低くないが、つねに程よいそよ風があるので汗の蒸発は速い)

出典:東京大学准教授 前真之著「エコハウスのウソ」

出典:東京大学准教授 前真之著「エコハウスのウソ」



ところが日本の夏は、27℃ 相対湿度90%というようなケースも多く、せっかく人間が汗をかいても空気の方はすでに満腹で、さらなる水蒸気を引き受けてくれない。
そうなると汗は肌にビッタリ張り付いたままでイライラする。ときには額の汗が目に入って痛い思いをする。 ハンカチをもっていないブ男は、暑苦しいと嫌われる。

でもこれが、日本の現実なのである。
私は日本のイライラする夏に、せめて家の中だけでもハワイの夏にしたい。

東京大学准教授 前真之著「エコハウスのウソ」

東京大学准教授 前真之著「エコハウスのウソ」


これは、オルゲーの生気候図に、ハワイを感じる気候を書き込んだものである。(若葉色の範囲)  元図にあった「夏の快適範囲」とずれているが、気候のソムリエを名乗る私の方が正しいと確信する。
日影であり、周壁(床・壁・天井)の温度が27℃程度であり、0.5m/秒 程度のそよ風があれば、理屈ではなく体感から若葉色の範囲がハワイに近い。

アフリカの夏は「カラッとした暑さ」と記載されているが、私の表現によると「刺々しい暑さ」となる。湿度が低すぎるのだ。
その意味では混合比は最小限10g/kgDA程度欲しい。
逆に、汗を心地よく発散させてくれるには飽和水蒸気量に達するまでの余力も必要。

出典:チリウヒーターHP

出典:チリウヒーターHP


余力として欲しい量は、もちろん気温が高いほど多く必要になる。
何かよい法則がないかと探していたところ、チリウヒーターの岡本社長の体感データを思い出した。合計15g/kgDAなら涼しいと感じるという体感である。
それをオルゲーの生気候図に落としたところ、ハワイを感じる気候とピッタリ一致。


オルゲーの生気候図に混合比15g/kgDAを合成

オルゲーの生気候図に混合比15g/kgDAを合成


上限を31℃にしているのは、目を閉じてハワイの風景が浮かんだ最高気温だったこと、そのときの湿度が45%であったこと。
これ以上温度が上がれば湿度は下がらざるを得ず、刺々しい体感になるからである。
では、下限を24℃にした理由は何か?
それはハワイを感じる下限であることに加えて、洗濯物乾燥機の観察結果でもある。

ハイブリッド除湿機
私はパナソニックのハイブリッド式(デシカントとヒートポンプ両刀使い)の除湿機を買って実験したが、空気温度が18℃以下のときはヒーターが入る。内部でデシカント式を選択しているのか、ヒートポンプ式にて熱を加えているのかはわからないが、ともかく吹出し温度を24℃以上にしないと洗濯物が乾かないことは、メーカーの開発部の実験結果であろう。
ちなみにワイキキの冬の代表的な気候は、22.7℃ 露天温度13℃(混合比9.3g/kgDA)相対湿度53%である。
やはり混合比は10g/kgDA近くある。温度は24℃に足りないが、湿潤でまぁ~るい空気である。

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