ここに95℃の熱湯1Lと、35℃のぬるま湯1Lがある。
容器は中桟で仕切られており、その左右に95℃の熱湯と35℃のぬるま湯が入っている。
中桟を取り払うと、そのうち両方のお湯が混ざって、最後には均一に65℃になるだろうことは容易に想像できる。(冷めるだろう・・・ヘリクツは言わない)
エネルギー表示だと、左の合計と右の合計は等しく418.7kJである。
なるほど「エネルギー保存の法則」・・・
それなら矢印を逆さにして、右から左へ戻す為にエネルギーはいらないはずである。
ところがそうはいかないのは誰でも知っている。それはイリュージョンの世界だ!
なぜ??
それを端的に説明してくれるのがエクセルギーなのだ。
エクセルギー表示にすると、左の合計は42.2kJに対して、右では32.6kJである。
減ったのだ!
エクセルギーが9.6kJ減ったのだ。
でも、エネルギーは保存する。エクセルギーが減った分だけゴミがでる。
ゴミのことをエントロピーと呼んでいるが、ややこしくなるのでココでは触れない。
ちなみに矢印を逆にして、右の状態から左の状態にするのがヒートポンプ(エアコンなど)の機能である。
エアコンは自分で熱をつくるのではなく、周囲にある空気を暑い空気と冷たい空気に分離するわけで、分離するために電気を使う。
使った電気の5倍位の熱を分離するので凄い発明である。
しかしその前に、地球環境そのものが巨大なヒートポンプのシステムを持っているわけで、やはり自然は偉大であり尊敬してしまう。(神はいないと思うが・・・)
かくしてエネルギーは形を変えながらトータルでは保存する。
しかし、役に立つエネルギー(エクセルギー)が消費されて、役に立たないエネルギー(エントロピー)に変化するので、省エネ、いや正しくは省エクに励まなといけない。
繰り返しになるが、上手なエクセルギー消費のコツがわかると、優雅で快適な生活をしながら省エネができるようになるので、我慢してページを読み進めて欲しい。