レンジフードは強制同時給排気を

あなたのお部屋のエアコンの冷房能力は?

あなたのリビングについているエアコンの能力を改めてたしかめてみましょう。
エアコンの品番が◯◯28◯◯となっていたら、冷房能力は2.8kw、◯◯36◯◯となっていたら、冷房能力は3.6kwです。

エアコン冷房能力

あなたのガスレンジの火力は?

ではキッチンのレンジの火力はどれくらいでしょう。
標準的なガスレンジを2口同時につかって調理すると3kw×2=6kwというとんでもない熱が発生します。
ガスの場合その半分が鍋やフライパンを温め、残り半分は部屋を温めてしまいます。
鍋やフライパンに伝わった熱も結局はお部屋を温めてしまいます。
もし換気しないと5kw分まるまる暖房したのと同じ結果になります。
これですでにエアコンの冷房能力を超えているわけですから、お部屋はどんどん熱くなっていきます。

ガスレンジ発熱量
そりゃそうですよね。夏に室内で焚き火をするわけですから、尋常じゃありません。
私に言わせれば火は外で炊くべきです。
昔の民家の台所は、なかば屋外のような環境なので良かったのです。

町家の台所
ところが省エネを考えた家(断熱性や気密性が優れた家)になった今も、家の中で火を焚く習慣は変わっていません。ひとつが進化しても他の部分が従来のまま・・・こういったことは良く起こります。
かといってキッチンを家の外に放り出すわけにはいきませんよね。
ではどうするか?

キッチンと他の部分の空気の流れを分離する

同時給排気のコツ

空気の流れにおいて、キッチンと他の部分と隔離する必要があります。
上の図のように屋外よりの給気をレンジフードの直ぐ側まで持ってくるのがコツです。
下の図のようにレンジフードから遠い位置から給気するとお部屋まるごと暑くなってしまいます。(冬はお部屋まるごと寒くなってしまいます)

つぎに大事なのは、強制同時給排気型のレンジフードを使うことです。
同時給排気型とは給気口と排気ファンが一体となったレンジフードです。
「家全域で行う24時間換気に影響を与えない」という建前ではありますが、実際にはバランスを崩してしまします。
なぜなら吸気口は直径15センチと小さいし、配管の抵抗もあるからです。

三菱電機製のV-604KCQ6

     三菱電機製 V-604KCQ6


強制同時給排気型は排気側だけでなく吸気側にもモーターとファンがついているので、スムーズに換気が行えます。
具体的な機種としては、三菱電機のV-604KCQ6があり値段も手頃ですが、残念なことにスタイリッシュではありません。
デザイン性の高いものとしてはレンジフードの専門メーカーである富士工業製のフェデリカなどがありますが生産終了になったりして、探すのに苦労します。

富士工業製 フェリカ

     富士工業製 フェデリカ

IHの隠れたメリット:熱効率

IHとガスの比較基準は、調理のしやすさ、燃料コスト、省エネ性などいろいろありますが、ここでは別の点から捉えてみたいと思います。
それは、お鍋やフライパンを暖めるときの効率、つまり投入したエネルギーの何%が生きるかということです。
ガスは55%程度に対して、IHは83%とかなりの差があります。
逆に言うと、ガスは投入したエネルギーの45%を捨てていることになります。
どこへ捨てるかというと、あなたのお部屋です。
その熱量はすざまじく、12帖用のエアコンを負かすほどです。

簡単に言うと暖房しているわけです。
ということは、冬は助かるわけですね。
でも、夏はめちゃくちゃ迷惑な存在であります。人間って勝手ですね・・・

その身勝手に寄り添ってくれるのが、三菱電気製 V-604KCQ6です。 V-604KCQ6には切り替えスイッチがついています。ひとつは夏用。
煮焚き物の熱気をダイレクトに屋外へ排気します。
もうひとつは冬用。
調理で発生した熱を利用して、凍るほど冷たい外気を温めてからお部屋に入れます。
こんなすぐれものですが、スタイリッシュでないのであまりモテません。残念!

IHの隠れたメリット:クリーン

熱効率83%ということは、ムダに捨てる熱が17%しかないということです。
夏はもちろん助かります。
冬はどうでしょう?
実は冬も助かるのです。なぜなら、IHは二酸化炭素を発生させないからです。
ですからお湯を沸かすときなどはレンジフードを回す必要は特にないのです。

IHは余計な熱を発生しにくい、そしてお部屋の空気を汚さないとう点で、換気量が少なくて済みます。
いくら高性能な熱交換つき換気システムを設置しても、やはり換気量が少ないほうが絶対に省エネであります。