この図は関西都市圏(京都・大阪・神戸各市内)の一般的な家賃を示しています。 左に示した数字は家賃。右に示した人数は「稼ぎ手の数」です。 ちなみに、このマンションは3階建てで、各フロアの面積は同じです。 1階には2LDKを2戸、2階には1LDK2戸の設計にしてみました。 各フロアの面積は同じですから普通に設計すると1LDKの間取りはのびのびした間取りに、2LDKはやや窮屈になってしまいます。そこでMacマジックを一振りして、窮屈感のない2LDKを創りました。(ノウハウは企業秘密ですみません・・・) その結果、1LDKの家賃が8万円なのに対して、2LDKの家賃は9万円と11%高く取れました。 理由はズバリ、「愛し合っているカップルも、たまには1人になりたい時がある!」 言われてみればそうですね。ジーンとくる一言。 狭くても良いのでプラス1室があると、入居を決める大きな一手になります。
さて、3階は、1Kと2LDKに区切ってみました。すると、3階の家賃合計は15万円と他の階とくらべて最悪の家賃収入になってしまったのです。 原因は、「稼ぎ手の数」です。 1Kに住む人は単身であり、2LDKに住むカップルは2人で稼ぎますから、3階の「稼ぎ手の総数」は3人です。 1階と2階の「稼ぎ手の総数」は4人であり、3階は3人なので、家賃を安くしないと入居できないのです。 要するに、一人あたりの負担を軽くしてあげるのがコツでしょう。 ここで疑問が起こりませんか? 「3階にある2LDKは、1階の2LDKより広いから、その分、家賃を上乗せできないのか?」 ごもっともなツッコミです。しかし残念ながら上乗せできませんでした。 そのワケを入居者に聞いてみたところ、最重要事項は部屋数であり、部屋の大きさは優先順位としてはその下だったのです。 「ちょっと狭いけど、生活できないことはないし・・・家賃は1万円でも安い方がいいよね」という意見にまとまるようです。 それを聞いて私の頭にはカレーのレシピが浮かびました。 カレーを作るためには最低、肉・玉ねぎ・カレールーが必要であり、どれが欠けてもカレーになりません。 でも、肉・玉ねぎ・カレールーが理想の量より1割ほど少なくても、カレーはできる・・・変に、そして深く納得しました。これが生きるということか・・・ ということで、「いかに小さな専有面積で、広く見える2LDKを作れるか?」が課題になります。 そこで私の頭に浮かんだのが、雪印の6Pチーズです。 原材料が値上がりしたからといって5Pチーズにするわけにはいきません。というか、6Pあってはじめて丸いパッケージに納まるわけです。 間違っても品質を下げることはできません! 困った雪印はどうしたか? 品質を確保した上で、厚みを薄くしました。小さくしたのが解りにくいように、表面積は以前のままです。 たいていの消費者はチーズが小さくなったことに気づいていると思われますが、値上げされるよりまだマシなんです。 失われた20年、上がらない給料・・・日本人は小さくなるしかないのでしょうか? 誰しも、給料が上がって広々としたマンションに住めることを願っています。 でも、郷に入っては郷に従うしかありません。 「品質は確保した上で小さくする」これが入居者のニーズなのです。 一方、比較的高額な所得者がいるのも事実です。 そういった人は、単身でも1LDKに住みます。 私が設計する2LDKは、広々とした1LDKに変身できる仕掛けなので、プチ富裕層にも対応します。