品質を確保しながた建築費を安くする技術

まずはじめに、「建築費は寿司屋のトロのように、シーズンによって値段が違うもの」と認識してください。
鉄や原油の相場によって原材料の値段が変わります。
景気不景気によって職人さんの手間賃も上下します。
でも、それらはまだ可愛いものです。それより遥かに大きいのは、搾取する立場にいる人の儲けであり、それは想像を絶するほど巨額です。

彼らの合言葉は、「儲けるときはガッツリと! 遠慮無用!」
ですから私は「儲け」という言葉が嫌いです。「儲け」≒「搾取」だからです。
職人さんの所得は「稼ぎ」です。「稼ぐ」≒「精を出して働く。一心に働く。働いて金を得る」
私は15年前に「職人さんには技量に相応な金額を支払うべきであり、搾取する人間を追放すべき」と著書「建築費500万円を節約するかしこい家造り」で声を大にし、私が関わるプロジェクトでは極力そうしてきたつもりです。




最適な工法を選定する

建物は色々な造り方がありますが、大きく分けると、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類になります。これは「どの材料で構造体を構成するか」という分類です。
そしてつぎは工法です。たとえば木造には、軸組工法と枠組壁工法がありますし、コンクリート造にもラーメン工法と壁式工法があります。
いずれにしても、材料や工法は手段です。目的を達成するためにどの手段を使うのがベターかを考えることが、私達が最初に行う重要な仕事です。
ですから私は建築主と「目的」について十分話し合います。

近隣住民の反対運動を安田が治める

これは京都市内に限ったことかも知れませんが、マンションや民泊を計画すると近隣住民の猛烈な反対運動が起こることがあります。
建築主は説明会の開催を要求され、説明会は弾劾裁判の様相を呈します。
建築主は犯罪者扱いされ、袋叩きにあい、「私は今までの人生で、こんなに情けない思いをしたこと無い・・・」とひどく落ち込むことになります。
建築会社は「私共にお任せください! あなたは説明会に参加する必要はありません」と甘い言葉を掛けてきますが、これに乗ってはいけません。
甘い言葉に乗った瞬間に建築費が1割高くなります。たとえば1億円の建物なら1000万円高くなります。なぜならクライアントは借りができて、他の工務店から見積をとりづらくなるからです。
これはもったい! 1000万円貯めようと思ったら、何年かかるか考えてみてください。

近隣対策は私、安田にお任せください。無料です。
私は、近隣住民に袋叩きされることなど何とも思っていません。
なぜなら私は、こう考えているからです。
古い町並みの1軒を取り壊して新たなビルを建てるということは、虫歯を抜いてインプラントをするようなもの。 すると歯茎は腫れ、周囲の歯にも影響を与えるので一時は熱が出るが、結局は元の鞘におさまる。
私が矢面に立って「叩かれてナンボ」でいけば、近隣住民からは「安田は煮ても焼いても食えない男」と評価される。
でもそれによって、私はクライアントの資産1000万円を守ることができのだ!
だから私は大きな達成感を得る。
さあ、安田とご一緒に、サンドバック経験を楽しみましょう。

有能な職人を常に捕まえている

設計図面は絵に描いた餅です。食べられません。
それを食べられる餅にするには有能な職人さんが必要です。
有能な職人さんは無口な人が多いですが、少し付き合えば見分けがつきます。
そのことを、イソップの寓話「3人のレンガ職人の話」が旨く言い当てていますので、引用させてください。

世界中をまわっている旅人が町外れの一本道を歩いていると一人の男が難しい顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男のそばに立ち止まって「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。 朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ」

もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。
「ここでいったい何をしているのですか?」旅人は興味深くたずねた。
「ああ、俺達のことかい? 俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」
「大変ですね」旅人はいたわりの言葉をかけた。
「とんでもない。 ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ! 素晴らしいだろう!」

要するに、工事の目的を理解して仕事するのが優れた職人なのです。
でも、建築主と合ったこともないのに、真の目的を察せよと言ってもムリですよね。
そこで私は、建築主の人生観や、建築主が大切にしていることを十分把握して設計図に記載し、それを現場監督や職人さんに一生懸命伝えます。
それを素直に聞き入れて、納得してくれて、実行してくれる人が本当に有能な職人さんなのです。

建築会社の腹具合を把握している

ときどき私は、「建築会社にはプライドがあるのか?」と怒鳴りたくなります。
何十年も建築をやっているのに、建築費がいくら掛かるか彼らは知らないからです。

去年、A社で1億円で建てたマンションを今年も建てようと思って、念の為A社に訊ねたら「1億3000万円かかっちゃいます」と言われました。
そこでB社から見積をとったら1億円でした。
もし私がA社に1億3000万円で発注していたら、A社は3000万円儲けたでしょうか?
いいえ断じてそれはありません。顔を見れば分かります。彼らはそこまで賢くない。
A社は下請けに値段を操作されているのです。要するにA社は主導権をもたず、下請けに握られているわけです。
そんな建築会社はいずれ倒産するので、近寄らないことです。
でも、こういった建築会社が如何に多いことか・・・呆れてものも言えません。

まあ、怒ってばかりいても仕方ないので、私は建築会社と配下の職人の腹具合を把握することに努めています。腹ペコの状態ならなんでも美味しく食べれるように、多少の予算不足なら、喜んで仕事を請けてくれます。
ただし、気をつけないといけないのは、「その建築会社が腹ペコな理由」です。
経営状態が悪いか、仕事が粗いことが原因なら論外です。失格!!
経営状態も悪くないし、仕事も悪くないのに腹ペコな時とはどんなときでしょう。
仕事の受注には波があり、底を打つ手前が狙い目です。ちょっと焦っている状態。
そんな状態の時は食いつきが良く、健全な値段(正当な値段)から数%安くできます。
「わずか数%か?」とお思いかも知れませんが、むしろ何十年%も安くするようでは、その会社は危険です。

迫力と愛情で優れた工事をする

建築費を値切っても、手を抜かれれば元も子もありません。
手抜きを防止するにはまず、「仕事に厳しい設計監理者」と強く認識されることです。
でも厳しいだけでは反感を買い、見ていないところで落とし穴を掘られる可能性も出てきます。そうならないためには、厳しさと愛情の両方が必要です。

厳しさ: いくら安く受注していても、ここは肝だから絶対に曲げられない!
愛情 : 建築会社をイジメルことが目的ではなく、安い予算の中でもなんとか経費ぐ
     らいは捻出できるようにしてあげたい

具体的には、何でもかんでも厳格にするのではなく緩急をつけることです。
「設計の肝は絶対に曲げないが、そうでない部分については、利口な造り方さえ提案してくれたら採用する」という姿勢です。それにはもちろん、的確な判断が必要です。

安い予算の中でもなんとか経費ぐらいは捻出できるようにするには、工事がスムーズに進むように、前さばきと進路調整をしてあげることです。
これはカーリング競技のスイーピング(ストーンの前をブラシではく)役と似ているかもしれません。
愛情を持って接すると、たとえ儲からなくても建築会社はついてきてくれます。


最終更新日: | 投稿者:, G+

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