エクセルギーとは

ここに35℃のぬるま湯がある。
35℃のコーヒーはまずくて飲めないし、もちろんインスタントラーメンも作れない。
35℃のぬるま湯でお風呂に入ると暖まるどころか体が冷えてしまう。
「この役立たずめ!」

(出典:大阪ガスCM)

(出典:大阪ガスCM)



ところが、35℃のお湯にエネルギーが全くないわけではない。
エネルギーがあるにはあるのだが、有り難くない(資源性が低い)のだ。
なんとなく分かる気がするが、具体性がない。
このことを端的に数値化してくれるのがエクセルギーなのだ。

たとえばここに35℃のぬるま湯が4Lある。そして95℃の熱湯が1Lある。
それぞれがもつエネルギーは同じである。(気温15℃のとき、共に335kJ)
あなたはどちらを選ぶか? つまり量か質かの問題である。

いうまでもなく95℃の熱湯1Lだろう。
熱湯が1Lもあれば、インスタントラーメンとコーヒーが美味しくいただける!

実は95℃のお湯は1Lで39.4kJのエクセルギーを持つのに対して、35℃のぬるま湯は4Lもあるのに11.2kJしかエクセルギーをもたないのだ。(周囲の気温が15℃のとき)
つまり95℃のお湯は濃縮された質の高いエネルギーであり、その力でラーメンを膨らませたり体を温めたりできる。逆に35℃のぬるま湯は薄まってしまった質の低いエネルギーなのだ。
これは、能力の低い人を4人集めても質の良い仕事はできないのと似ている・・・とか言って、ときどき私はヒンシュクをかう。(ただし仕事の量としては4人分なされる)

エネルギーとエクセルギー(イメージ)

エネルギーとエクセルギー(イメージ)


せっかく納得してくれそうなのに蒸し返すようだが、もうちょっとだけ聞いて欲しい。
15℃の水4Lを35℃まで上昇させるのに必要なエネルギーは335kjであり、15℃の水1Lを95℃まで上昇させるのに必要なエネルギーも同じく335kJなのだ。

やみくもに「省エネ!」と叫ぶより、コツを知って利口な省エネをしていきたい。
この知識はユーザーにも知ってほしいが、どちらかというと建築をつくる側が「優雅に暮らしても自動的に省エネになる家」を創るべきだと思う。
だれが運転をしても、プリウスの燃費が一般の車よりも良いごとく。